ここは、沖縄本島内で、適当にやってる趣味の店のブログです。

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橙バレンタイン

 はじめまして、私は、橙と書いチェンといいます。
 橙は、猫又です・・・・猫の耳と尻尾が二本ありますから、そうですたぶん。
 それから、それから、職業は、らんさまの式神です。
 らんさまは、立派な九本の尻尾を持つの狐さまです。
 どのくらい立派かと言うと、尻尾をギュウってすると、フサフサで、モコモコで、フカフカで、ポカポカで・・・・・えーとえーと、あとは何でしょう?
 「チェ~ン」
 あ、らんさまが呼んでます。
 「はーい、らんさま、御用はなんですか?」
 らんさまは、台所でお料理をしてます。
 「橙、誰と話してるの?」
 らんさまの後ろ姿、フサフサ尻尾がゆれてゆれて。
 野生の本能が、理性を凌駕しました。
 姿勢を低く、身構え。
 じっと、タイミングを計り。
 一気に、喰らいつく!!
 「ぎゃぁぁぁぁ!!」
 次の瞬間、らんさまの悲鳴が、辺り一帯に木霊しました。

 数十分後。
 らんさまの右手が、包帯でグルグル巻きになってます。
 「らんさま、ごめんなさい」
 橙が、らんさまのフサフサ尻尾に本能に抗うことができず襲い掛かったので。
 料理中だったらんさまは、右手を火傷しちゃいました。
 「大丈夫よ、橙こそ怪我はない?」
 とっても痛いはずなのに、私の心配をするなんてらんさま。
 「えぐっえぐっひっく、らっらんさまぁ~」
 泣きたいのはらんさまなのに、橙は涙が止まりません。
 「ほら、その辺のエキノコックスをばら撒くしか能がない野狐とは、格が違うから直ぐ治るわ」
 らんさま、痛いはずなのに無理に明るく振舞って。
 「らんさま、ごめんなさいっ!!」
 そう言い残して、お外へ飛び出しました。
 「橙、どこ行くのチェ~ン!!」
 らんさま、ごめんなさい。
 らんさまに怪我させるなんて、式神失格です。
 橙は、もうらんさまに会わせる顔がありません。
 「おやおや、森で泣いてる子がいると思ったら、うちの橙じゃないの」
 聞き覚えのある声。
 振り返ると、優しく微笑んでるゆかりさまがいました。
 「ゆっゆかりさま~」
 「どうしたの・・・・て、とりあえず、涙と涎と鼻水を拭きなさい。話は、それからね」
 「ふぁい」
 橙が、顔を拭いてる間にゆかりさまの紹介を・・・・
 ゆかりさまは、凄く偉いんです。
 だって、らんさまのご主人様ですから。
 「で、何があったの?」
 「それが・・・・・」
 話してる途中に、何度か泣き出しました。
 が、ゆかりさまは、静かに泣き止むのを待って聞いてくれました。
 「大体の話は、分かったわ。じゃあ、この紫様から、橙に良い物を送りましょう」
 そう言うと、ゆかりさまは、手のひらサイズのハート型の包みをくれました。
 「これ、なんですか?」
 ゆかりさまは、それに「ヒミツ」と答え。
 少し間を置いて、悪戯っぽく微笑んでこう言いました。
 「いい、橙。これは、大変に良い物なの。だから、今、痛くて辛い思いをしてる藍に、「らんさま、これ、私の気持ちです。受け取ってください!!」って渡しなさい。そうすれば、忽ち火傷の痛みなんて治っちゃうわよ」
 「ゆかりさま、ありがとうございます」
 早速、らんさまに渡さなきゃ!
 「ふふふ、がんばってね橙」
 遠くなっていく橙の後ろ姿を、見送る笑顔は酷く残忍だった。

 「らんさま~」
 「おかえりなさい、橙。もう直ぐ夕飯よ」
 らんさまは、夕ご飯の準備をしてました。
 「らんさま!!」
 「橙、何?」
 さあ、らんさまがこっちを振り向いた。
 今が、チャンス!!
 「らんさま、これ、私の気持ちです。受け取ってください!!」
 言われたとおり、差し出す。
 「バッバッバババババッバ!!」
 らんさまが、取り乱しています。
 「らんさま?」
 突然、ギュウって、らんさまに抱きしめられました。
 「橙、ありがとう」
 「らんさま、もう痛くないですか?」
 「うん、火傷なんてもうヘッチャらよ」
 良かった。良い物にこんな凄い効果があるなんて。
 「らんさま、私も、夕ご飯の準備手伝います」
 「じゃあ、橙は、お箸人数分運んでね」
 「はーい♪」
 今晩のお夕飯は、鯖の味噌煮でした。
 らんさまとゆかりさまと、橙の三人で仲良く食べました。
 とても美味しかったです。
                                              おわり。

 さて、橙から良い物を貰った藍は、と言うと・・・・その夜。
 「うふふふ、橙から、バレンタインチョコ貰うなんて~。まあ、両思いなのは、分かってることだけど、いざこう形にされると、照れますな~」
 興奮を抑えられずに、ハート型の包みをバリバリとはがし。
 「んっ!」
 開封後、月に向かって吠えた。
 「コーン!!」
 その遠吠えは、悲しく。
 とても、嬉しいとかその辺の感情が何一つ含まれているように思えない。
 原因は、ハート型のチョコ。
 そこには、大きく「義理」と入っていた。
 チョコを、無理に口に押し込み乱暴に噛み砕き飲み込む。
 そして、布団に潜り込んで咽び泣いた。
 「あははは、やっぱりあの二人をからかうのは、楽しいわね~」
 一部始終をスキマから覗いていた紫は、心の底から楽しそうに笑っていたのだった。
 当の橙は、ぐっすり寝ていたのでそんなことは知る由もなかった。
                                              本当におわり
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プロフィール

酒乃肴

Author:酒乃肴
 はじめまして、酒乃肴と申します。
 沖縄本島に住む、半分引きこもりの気味のものです。
 
 最近、趣味が講じて、自分のお店を開きました。
 レンタルスペース「酒乃家」
 詳しくは、カテゴリの店舗情報を参照ください。

 
 リンクについてですが、自由にしてもらってかまいません。

 できれば相互リンクするので、リンクしていただい方は、よろしければコメントか何か残してくださいませ。

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