ここは、沖縄本島内で、適当にやってる趣味の店のブログです。

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映姫さまの白黒チョコレイト

 目の前に、対岸が見えない広大な河が流れている。
 その岸辺には、真っ赤な花が咲き乱れ、まるで来るものを歓迎しているようだ。
 しかし、この風景を他者に伝えることは、人には恐らく無理だろう。
 ここは、三途の川。
 生者がくる場所ではなく、彼岸に渡る死者がくる場所。
 今日も、岸には大量の亡者が、彼岸に渡るために列を作って待っている。
 亡者を彼岸に連れていく渡し守たちが、齷齪と働いている。
 「今日も、いい天気だ、絶好のお昼寝日和だね~」
 お日様をいっぱいに吸い込んだ草の上に、ごろりと寝転がる。
 青臭い独特の臭いとふんわりとした草の感触が、全身を包み込む。
 直ぐにでも寝てしまいそうだが、一応はもう一度岸辺を確認する。
 ここは、岸辺が一望できる小高い丘。
 下で、忙しく働く同僚には悪いが、シェスタは、重要だと思うのでしばらく休ませて貰おう。
 「おお、みんな、あたいの分までがんばれー」
 聞こえないが、同僚にエールを送っておく。
 「ふぁぁ」と欠伸を噛み殺し、ゆっくりと目を瞑る。
 「起きるのは、日が暮れ始めてからでいいか?」
 適当にそんなことを決めて、意識を深く沈めていく。
 「小町っ!」
 突然、名前を呼ばれ。
 咄嗟に、目を開ける。
 一瞬、見慣れた小柄の影が映る。
 続いて後頭部に激痛、「ぎゃっ」と思わず悲鳴をあげる。
 そうすれば痛みが和らぐと言うように、頭を抱え右へ左へと転がる。
 何度か転がったあと、頭を擦りながら起き上がる。
 「痛いじゃないですか、四季様」
 零れた涙を拭いて、抗議。
 目の前には、腕組仁王立ちの小柄な少女。
 四季様・・・・正確には、四季映姫・ヤマザナドウゥ様。
 小柄でぱっと見、女子中学生にしか見えないけど、彼岸の向こうで亡者を裁く立派な閻魔様。
 閻魔さまで、あたしの直属の上司。
 「小町、あなた、またこんなところでサボって!!」って、いつもなら可愛いらしい顔をプリプリと膨らませて、怒鳴るはずが。
 「小町、サボリですか・・・・・」
 俯き加減で、消え入りそうな声。 
 「いえいえ、サボってたのではなくて、入水自殺を図ろうとする輩を、止めるために監視してたんですよ」
 「そうですか、なら良いんですが・・・・」
 「あれぇ?」思わず声に出そうになったが、何とか踏みとどまった。
 いつもなら、「よくも抜け抜けとそんな嘘おっ!」て、ながーいお説教が始まるはずが。
 なに、なにこれ?
 これは、夢か!?
 いや、後頭部は、まだまだズキズキと痛む。
 なんだろう・・・・・・怖い。
 いつもと違う四季様が、凄く怖い。
 「こっ小町」
 「はいぃー」
 思わず返事が上擦る。
 「ええ、これ・・・・口に合えばいいのですが」
 四季様が、後ろ手にもっていた箱をそっと突き出してきた。
 「これは?」
 受け取った箱は、綺麗にラッピングされ、中からほのかにカカオの匂いがする。
 「四季様、これって!」
 「それを、食べ終えたら、ちゃんと仕事に戻りなさい」
 そう言う四季様は、すでに背を向けて歩き出していた。
 でも、耳が、真っ赤なことだけは分かる。
 「はい、あたいも大好きです!!」
 過ぎ行く背に、精一杯の思いを込めて叫ぶ。
 届いたのか、一瞬ピタと止まり。そして、早足で去っていく。
 追いかけていって、抱きしめたいのを必死に堪え。
 「四季様、大好きです」
 抑えきれない気持ちが、何度も口をついて風の中に乗って消えていった。

                                    ここまでは、ハッピーエンド。
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橙バレンタイン

 はじめまして、私は、橙と書いチェンといいます。
 橙は、猫又です・・・・猫の耳と尻尾が二本ありますから、そうですたぶん。
 それから、それから、職業は、らんさまの式神です。
 らんさまは、立派な九本の尻尾を持つの狐さまです。
 どのくらい立派かと言うと、尻尾をギュウってすると、フサフサで、モコモコで、フカフカで、ポカポカで・・・・・えーとえーと、あとは何でしょう?
 「チェ~ン」
 あ、らんさまが呼んでます。
 「はーい、らんさま、御用はなんですか?」
 らんさまは、台所でお料理をしてます。
 「橙、誰と話してるの?」
 らんさまの後ろ姿、フサフサ尻尾がゆれてゆれて。
 野生の本能が、理性を凌駕しました。
 姿勢を低く、身構え。
 じっと、タイミングを計り。
 一気に、喰らいつく!!
 「ぎゃぁぁぁぁ!!」
 次の瞬間、らんさまの悲鳴が、辺り一帯に木霊しました。

 数十分後。
 らんさまの右手が、包帯でグルグル巻きになってます。
 「らんさま、ごめんなさい」
 橙が、らんさまのフサフサ尻尾に本能に抗うことができず襲い掛かったので。
 料理中だったらんさまは、右手を火傷しちゃいました。
 「大丈夫よ、橙こそ怪我はない?」
 とっても痛いはずなのに、私の心配をするなんてらんさま。
 「えぐっえぐっひっく、らっらんさまぁ~」
 泣きたいのはらんさまなのに、橙は涙が止まりません。
 「ほら、その辺のエキノコックスをばら撒くしか能がない野狐とは、格が違うから直ぐ治るわ」
 らんさま、痛いはずなのに無理に明るく振舞って。
 「らんさま、ごめんなさいっ!!」
 そう言い残して、お外へ飛び出しました。
 「橙、どこ行くのチェ~ン!!」
 らんさま、ごめんなさい。
 らんさまに怪我させるなんて、式神失格です。
 橙は、もうらんさまに会わせる顔がありません。
 「おやおや、森で泣いてる子がいると思ったら、うちの橙じゃないの」
 聞き覚えのある声。
 振り返ると、優しく微笑んでるゆかりさまがいました。
 「ゆっゆかりさま~」
 「どうしたの・・・・て、とりあえず、涙と涎と鼻水を拭きなさい。話は、それからね」
 「ふぁい」
 橙が、顔を拭いてる間にゆかりさまの紹介を・・・・
 ゆかりさまは、凄く偉いんです。
 だって、らんさまのご主人様ですから。
 「で、何があったの?」
 「それが・・・・・」
 話してる途中に、何度か泣き出しました。
 が、ゆかりさまは、静かに泣き止むのを待って聞いてくれました。
 「大体の話は、分かったわ。じゃあ、この紫様から、橙に良い物を送りましょう」
 そう言うと、ゆかりさまは、手のひらサイズのハート型の包みをくれました。
 「これ、なんですか?」
 ゆかりさまは、それに「ヒミツ」と答え。
 少し間を置いて、悪戯っぽく微笑んでこう言いました。
 「いい、橙。これは、大変に良い物なの。だから、今、痛くて辛い思いをしてる藍に、「らんさま、これ、私の気持ちです。受け取ってください!!」って渡しなさい。そうすれば、忽ち火傷の痛みなんて治っちゃうわよ」
 「ゆかりさま、ありがとうございます」
 早速、らんさまに渡さなきゃ!
 「ふふふ、がんばってね橙」
 遠くなっていく橙の後ろ姿を、見送る笑顔は酷く残忍だった。

 「らんさま~」
 「おかえりなさい、橙。もう直ぐ夕飯よ」
 らんさまは、夕ご飯の準備をしてました。
 「らんさま!!」
 「橙、何?」
 さあ、らんさまがこっちを振り向いた。
 今が、チャンス!!
 「らんさま、これ、私の気持ちです。受け取ってください!!」
 言われたとおり、差し出す。
 「バッバッバババババッバ!!」
 らんさまが、取り乱しています。
 「らんさま?」
 突然、ギュウって、らんさまに抱きしめられました。
 「橙、ありがとう」
 「らんさま、もう痛くないですか?」
 「うん、火傷なんてもうヘッチャらよ」
 良かった。良い物にこんな凄い効果があるなんて。
 「らんさま、私も、夕ご飯の準備手伝います」
 「じゃあ、橙は、お箸人数分運んでね」
 「はーい♪」
 今晩のお夕飯は、鯖の味噌煮でした。
 らんさまとゆかりさまと、橙の三人で仲良く食べました。
 とても美味しかったです。
                                              おわり。

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プロフィール

酒乃肴

Author:酒乃肴
 はじめまして、酒乃肴と申します。
 沖縄本島に住む、半分引きこもりの気味のものです。
 
 最近、趣味が講じて、自分のお店を開きました。
 レンタルスペース「酒乃家」
 詳しくは、カテゴリの店舗情報を参照ください。

 
 リンクについてですが、自由にしてもらってかまいません。

 できれば相互リンクするので、リンクしていただい方は、よろしければコメントか何か残してくださいませ。

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